雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

デザイン系のウェブサイトを作るのって難しいのだな

現在、私はグラフィックデザインを生業として生活していることもあって、基本的には興味ないのですが、たまぁにデザイン系のウェブサイトを見ることもあります。このblogをはじめたそもそもの理由として「仕事関係のウェブサイト(業務案内ですね)を作ろう」ということもありましたし。
そうしていくつか、ホントにいくつかのデザイン系サイトを見ると思うのが、「デザイン系のウェブサイトをつくるってのは難しいもんなんだな」ということです。いやね、商売柄、奇麗なサイトが多いですし、Flashとかもバリバリ使われてて(特にウェブ制作をしてるとこなんか顕著)なんかかっこいいし、なんかいろいろデザインに対する取り組みとかも書いてあったりして、まあ素晴らしいですよ。
ただ(ごめんなさいね)、つまらないものが圧倒的に多い。
ホントすいません。でも、ぶっちゃけ、最後まで全ページ見たくなるサイトって無いと思いませんかね?
いやなにも「俺が作ったらずっと良いもの作れるぞ」などと言える筈がないし(本blogで書いてあるとおり、バンドのサイトを作るまで、まともにウェブサイトなんて作ったことない。)、もとよりそんな自身など皆無です。ただ、ちょっと考えてみたいわけですよ、少なくとも自分にとって、なんでデザイン系ウェブサイトがこうもつまらないのかを。
デザインのサイトのメインコンテンツって、仕事紹介のページだと思うのです。あるデザイナーが、どんな仕事をしてきたのか、その仕事に対してどんなふうに取り組んでいたのか、サイトで紹介しているデザインワークのどこが気に入っているのか、さらに言えば、イヤな思いをしたエピソードなんかも知りたい。それは恐らく、ビジネスとしてそのサイトを見る人にとっても同じだと思うのですよ。仕事を見て、そのデザイナーの可能性を計るしかないはずですから(まあ、中には口八丁手八丁でうまーいこと仕事を進めちゃう方もいらっしゃるかもしれませんが)。
でも、そのメインコンテンツであってほしい仕事紹介のページって、大概いくつかのカテゴリに分けて、250×200ピクセルくらいのたっくさんの画像がどばーっと並べられてておしまい、みたいなのが多いんですね。
でも、サイト立ち上げてるデザイナーのみなさんだって、仕事の進め方自体は私とそう変わらないんじゃないか、という前提で言わせてもらうんだけど、デザインをプレゼンして修正だの変更だの進めてる中で、クライアントに対して「なんでもかんでも情報を詰め込めばいいってもんじゃない。伝えたいことに優先順位をつけて、一番伝えたいことをシンプルに強く出すことが原則なんですよ。御社が伝えたいと思ってることと、ユーザーのニーズは必ずしも一致するとは限らないんですよ」みたいなことを一度ならず思ったことあるはずだし、場合によっちゃ会議や打ち合わせの席で直接言ってると思うんですよ。
そのセリフ、自分たちのサイトに向けて吐いてみたらどうでしょう?
あの仕事も紹介したい、こんなこともできるってアピールしたい、そりゃ気持ちはわかるけど、例えばA4サイズのパンフレットをモニタ上で5〜6cm四方の画像で見せられても、伝わることってなかなか少ないじゃないかと。
オリジナルのイラストとか、coolなグラフィックをメインビジュアルに使った仕事をばーんと見せて自分の仕事の独創性をアピールしたいのもわかるんですけど、隅っこにちょこーっとクレジット(ごていねいにフォントサイズ小さくして)入れられても、それじゃあぱっと見たとこ何の仕事なのかわからないと思うんです。
全てのデザイナーのサイトがそうだとはもちろん言い切れないけど、「あなたが伝えたいと思ってることと、ユーザーのニーズは必ずしも一致するとは限らないんですよ」と言いたくなってしまう。
「じゃあどうすりゃ良いってんだ?」と言われると、いまひとつよくわからないのですが。いやホント結果的に偉そうな御託ぐだぐだ書いただけになっちゃって申し訳ないかぎりです。ともかく、そんなもろもろを考えると、「デザイン系のウェブサイトを作るのって難しいのだな」と感じるわけです。つくづく。