雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

Aria Pro2 TS-400


ちょっと前に、よく「ジャパン・ヴィンテージ」なんてつって'70年代半ばから'80年代の日本製のギターがもてはやされてましたね。曰く「今より木の質がいい」「日本製だから造りがしっかりしている」などなど。実際のところは、「本物の」ヴィンテージが高騰しすぎておいそれと手を出しにくくなった市場にとっての、ノスタルジーも加味した受け皿にすぎなかったんでしょうけど。
Aria Pro2、いわゆるアリプロのこのギターも、そうした流れに便乗してオークションなどで「ジャパン・ビンテージ」なんて煽り文句がつけられているのを見かけます。'80年代前後って、こういう数ピースの木を合わせたスルーネックのギターやベース多かったですね。なんか「フュージョン」て言葉が連想されますが。ところがこいつ、一見スルーネックですが、実はセットネックです(たしか上位機種のTS-500からスルーネックになってたはず。デタッチャブルじゃないだけ偉いと言うべきか?)。イラストは省略してるけど、それらしい木目もあったし、きいてるのかきいてないのかわかんないミニスイッチがついてるとこなんかからも、ルックス的にはB.C.Richの影響もあったかのかもしれません。
こいつ、私が初めて買ったエレキギターで、それなりに思い入れもあるんで、オークションでも少ぉし気持ちが揺らぐこともあるんだけど、でも実際は大したもんじゃないぞ。チューニングはよく狂ったし、ピックアップもどうというものでもない。というか良くない。特にフロントはモコモコしてるだけでほとんど使い物にならなくて、リアばっかり使ってました。後にアメスタのテレキャスを購入したとき、フロントの音が使えることを知ってびっくりしたくらいです。
ところで僕は13歳の秋にギターを始めたんだけど、二十歳過ぎるあたりまで、ギターってクラシックとフォークとエレキの三種類の違いくらいしかよくわかってませんでした。これを購入したのは15の春先のことで、当時はエレキギターだったら、つまり、ボディがえぐれててハイポジションが押さえやすくなってて、ピックアップがついてて、あとペグが片側6連だったら(それが当事の自分にとってのエレキギターの定義だった)何でもよかったんですね。そんな、ストラトレスポールの違いどころか、シングルピックアップとハムバッカーの違いすら知らなかった僕がなぜこれを選んだかというと、単純に安かったからです。品名から推測できるように、定価¥40,000のところが型落ち品だったため(モデルチェンジ後、両側3つずつのペグになった)、¥20,000で購入。ぶっちゃけ、安さしかとりえのないギターだったので、今オークションでそれ以上の値がついてたりするとぼったくりに見えて仕方ないです。
そういえば大学時代、弦交換のときにブリッジの駒を一個ワヤにしちゃったな。なんの金属でできてたんだろ。ぐにゃりと簡単に変型してしまって使い物にならなくなった。で、楽器屋行ったら、ブリッジ自体がアリアオリジナルの形(ボディにザグリを入れて埋め込んである)なんで、交換すると高くつく、と。で、テレキャス用のブリッジをタダ同然で売ってもらって大学の金工室でぶった切ってむりやりネジ止めしたっけ。
ちなみに上のイラストは、何のために描いたか思い出せないんだけど、このTS-400の現役当時のもの。高校の頃だろーな(だからデッサン狂ってるのは大目に見てください)。色つけたのは先日のことですが、大きめのトレーナーが'80年代ですね。恥ずかしい。なんやかんや言っても、中学時代から社会人になって前述のテレキャスターを購入するまでの十余年、一番よく使ったギターだったりするんだよな。今ではコントロールノブしか手許に残ってませんけど。