雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

そもそもは「缶コーヒーって無くなっちゃうのかな」なんて軽く考えてたんだけど


写真は自動販売機の上部についてたPOPです。
「eco」と大書された下に書いてあるコピーはこんなの。

軽量化による資源の有効利用から、リサイクルしやすい容器開発まで、大塚は環境問題に取組んでいきます。

で、ポカリスエットが国内商品のボトルでは、クリスタルガイザーが輸入商品のボトルではそれぞれ最軽量なんですと。
自動販売機で購入できる飲料の容器としてよく見かけるのは、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、ガラスボトル、こんなところでしょうか。あと紙パックとか。紙パックは使い捨てだろうけど、他の缶とかボトルとかのそれぞれのリサイクル利用率がどれくらいなのかとかはさすがに知りませんが、まあ、「リサイクルしやすい容器開発」とうたうなかでPETボトルをメインビジュアルとして出してるんだから、さぞかし有効活用されているんでしょうね。
実際、日本における2005年度のPETボトルの回収率は65.6%の高水準だそうです。
ボトルが軽くなるということは、輸送の際に消費するエネルギーも少なくなるだろうし、それはおのずと輸送コストの軽減につながるのでしょう。さらにリサイクルも促進されるとなれば、PET以外の容器素材はいずれ衰退していくことになるのかもしれません。輸送コストがかかると言えば、まずはガラスがやばいのかな。輸送中に割れるといったロスもあるしなあ。そうした流れは、ガラスボトルに貼付けるラベルのデザインを手掛ける私にとっても、いずれは死活問題となるのかもしれません。
とは言え、ガラスボトルの持つ意匠製、商品性というのはメーカーとしてもそう簡単には捨てられないのではないかと思うわけであります。例えばコカコーラと聞けば、グリーンがかったあの独特のシェイプを持ったガラスボトルか、赤ベースに白で抜かれたロゴとアルミ素材を活かしたシルバーのあしらいによる鮮やかなイメージが連想されるわけで、PETボトルとシュリンクフィルムによるパッケージングは、そのイメージに追随するかたちで成立してると思うのです。少なくとも当分のところは。
また、日本酒に限らず、ウィスキーをはじめとした蒸留酒のボトルなども、やはりガラスの素材感をもって高級感を演出している要素が大きい。このあたりは環境のためにとは言っても、なかなか簡単に容器素材を変えるわけにはいかないでしょう。
大塚製薬の商品群を見ると、そういった素材感がデザイン要素として大きなウェイトを占める商品が多くないため、PET素材の容器を主として使えるといった強みにつながっているのかもしれません。いずれにしろ、輸送コストとリサイクル性の2点から見ればガラスよりPETの方が有用なわけですから、例えば一般に販売されている薬とか、今はガラス瓶に入って売られている商品のいくつかはいずれPETの瓶に入るようになるかもしれないし、「缶コーヒー」「缶ジュース」という名称の商品が無くなる日もくるのかもしれません。
 
 
 
…てな感じで結ぼうかと思っておったのですが、念のため「リサイクル 率 ペットボトル」で検索してみると、どうも話はそこまで単純じゃないようですね。
まず、前述の「PETボトルの回収率は65.6%」というのも、あくまで「回収率」であって「再利用率」ではないということ。で、実際に回収したPET素材を再利用、つまり一般的に考えられているリサイクルという見方をすると、その数字はぐううんと落ちるようです。と言うのも、回収されたPETボトルを再利用するためのコストなりエネルギーがすんごくかかっちゃうということらしい。つまり、PETボトルをリサイクルするほうがエコロジーの観点から言っても今のところは良くないんじゃないの?と。
まあ「PETボトルの回収率は65.6%」をうたってるペットボトルリサイクル推進協議会に言わせればこんな上向きの話もありますが、実際の成果がもっとクリアじゃないとねえ。
詳しくはこちらをじっくり読んでいただいた方がいいかも。私はまだ斜読みしかできてませんが。
PETボトルのリサイクルについては、私にはちょっと難しかったけどこちらも興味深い。
回収されたPETボトルの大半はどこに行ってるんでしょうか?