雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

白鹿記念酒造博物館 平成21年春季特別展ポスター


 
いやね、いろいろとネタはたまってるんですよ。先週の土曜は名古屋帰って中学校時代の友達としこたま呑んで、翌日は二日酔いのまま模型倶楽部の例会行ったり(そもそも夙川模型倶楽部に入会したことを書いてないぞ)、ライブもやってるし実はマチルダさんもとっくに完成してるし、それ以外にもほんといろいろと。
 
なのですが、もう始まってるし、せっかくなのでお仕事関係の話。
毎年春になると、西宮さくら祭の関連イベントのひとつとして、白鹿酒造博物館にて、笹部コレクション__笹部新太郎翁の桜に関する美術工芸品の展示が行われております。今回はそのポスターを作りました、という話です。
 
ちなみに、笹部新太郎翁についてはwikipediaを参照してください。私なんぞが語るのはおこがましい方です。興味がありましたら、水上勉の小説「櫻守」ももちろんですが、古書店をハシゴして、自伝「櫻男行状」もお読みください。翁の桜への思いや桜についての業績はもとより、明治時代の東大の様子とか、モダニズム時代の大阪のこととか、なんかもうとにかく素敵な本です。実はこの本読むまで、私は笹部新太郎翁って、桜好きが高じてオタクになった爺さん程度に思っておったのですが、とんでもない思い違いでした。
 
さて、このポスターの仕事、毎年やらせていただいて10年になります。
正直申しまして、収蔵品には限りがありますから、そうそう違った趣向で展示ができるわけではありません。このあたりは担当の学芸員の方もおそらく毎年頭を悩ませているところかと思います。必然的に、ポスターに使うモチーフも限られてくるわけです。つまり、いつでもマンネリに陥る危険を抱えているわけです。
 
とはいえ、この仕事はかなり好きで、毎年楽しんでやらせてもらっています。
なにより、企画の立ち上げの時期から打合せをさせていただき、こちらの提案を尊重して検討していただき、仕上がりまで辛抱強くおつきあいいただいている担当及び関係者のみなさんにはホントに感謝しております(マジです。この場をかりて、あらためてお礼をいたします)。
 
で、このポスターなのですが、展示される掛軸から桜の花を切り抜いてコラージュしました。打合せのときに「正直、面倒くさいですけど、こんなのどうでしょう?」と提案してみたところ、「止めませんから、やってみてください。」といったニュアンスのお答えを笑いながらいただいたのが運のツキでした。いやはや、久々に手間かかりましたですよ実際。この作業のときばかりは、今のMacBookに買い替えて正解だったと思いました。
 

 
こちらはA4のチラシです。普通、ポスターとチラシで図柄を変える場合、タイトルの書体を揃えるとか何かしら統一性を持たせるのが定石ですし(つーか、常識ですね)、昨年はたしかそうしたのですが、今年は全然違うイメージになってしまいました。いずれにしろ、錦絵が展示されるのは久方ぶりのことだそうで、僕がこのポスター作成に関わってからは初めてです。
 
この展示会、例年より会期も長めですので(てゆーか終わる頃には梅雨ですね)、時間を見つけて、ぜひ足をお運びください。