雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

Gibson ES-355TDについて


唐突ですが、ギターの紹介。以前一度登場しましたが、これが最近のメイン・ギターです。フレディ・キングの「Burglar」のジャケットにもなってるやつです。
 
   
「Burglar」のジャケットっぽく撮ってみました。
 
それまではサンバーストのES-335を使ってたんですが、こいつをウェブで見つけて以来、どーにも気になってしまい、335を下取りに出してまでして買ってしまいました。正直、その判断が正しかったのか、今でもよくわかりません。「335持ってるんなら別に355にする必要ないじゃん」と、ほとんどの人は思うだろうし、他人ごとだったら僕だって同じこと言ってるに違いないからです。

以前持ってた335。こっちの方がオールドっぽかったりして。
 
クリーム時代のエリック・クラプトンラリー・カールトンなど蒼々たるプレイヤーの影響もあって、ES系と言えばやはり335の方がずっとポピュラーですし。でも、そこはなんつーか、「やっぱ355の方がいいんだよ」と思うタチの人間も少なからず実はおりまして。だったらなぜ黒の355にしなかったのかという話になるんですけど、高いんです。ヒスコレなんか買えません。まあこいつも充分高い買い物でしたけど(未だにこのとき負った経済的な傷は癒えてません)。
この355は1970年前半のもの。ご存知の方も多いでしょうけど、1970年〜75年のGibsonはシリアルナンバーが重複してるので、厳密に年代を特定できません。いずれにしろ、オールド的な価値は皆無かと思います。ボディトップのカーブも、扁平気味で色気ないし(いーんだよ、別に)。
 
ピックアップはナンバードPAF。ヘッド裏はこんな感じ。
 
で、ES-335とES-355の違いなんですけど、まずはグォージャスなルックスでしょう。ヘッドのインレイ、各部のバインディング、指板のインレイなど。こいつにいたってはFホールにまでバインディングがほどこされています。人によっては悪趣味ととられるかもしれませんけど。ホントは、ピックガードにもバインディングがほどこされてて、それがまた成金趣味風情を醸し出してるんですけど、僕の355はセルロイドが経年変化でボロボロになってしまい、残念ながら使い物にならなくなっています。おまけに劣化の際に発生するガスのせいか、ピックガードがあった部分だけ塗装も色落ち&傷んでたりします。まあこれはこれで味ということで。
 
劣化してボロボロのピックガード。写真ではわかりませんがボディにはクラックも入ってます。
 
さて、335になくて345と355についてる機能的な違いと言えば、ステレオ出力になっている点でしょう。これは一つのジャックから二台のギターアンプに音を振り分けられるようになっていて、なんか開発当時は大層な仕様だったんでしょうけど、今となってはある意味大きなお世話と言っていい機能です。以前にも書きましたが、これについてはノーマルなモノラル出力に配線をし直してもらっています。
ステレオ出力とともに335になくて345と355についてるのがバリトン・スイッチ。やはりステレオ出力とともに、いずれも現代では「使いづらい」「こんなもんいらない」とよく言われている機能ですけど(ここらの機能が始めからないシンプルさ・スタンダードさも335の方が人気のある要因かもしれません)。でも、これを「3」に合わせてピックアップ・セレクタをセンターにすると、エレアコっぽいストローク向きの音になってくれるので、アコギを持って行かないで「雨を見たかい」やるときなど(定番ナンバーなので必ずやるんですけど)、バリトン・スイッチが活躍してくれます。これならエフェクターもいらないし、案外重宝してます。
 
「雨を見たかい」のときはだいたいこんな感じ。ピックアップ外したとこからチラリと見えてるのが、バリトン関係のパーツみたいです。
 
それと、これは年代による違いではないかと思うのですが、ネックが細いです。60年代後半、70年前後のギブソンの傾向とは聞きますけど、ホント細いです。ナット部分で40mmを若干切ってます。厚みも少々薄いかもしれません。なので、近年の335と比べると引き心地は全く別のギターと捉えた方がいいくらいです。
 
リュート付きのヘッド。アームはほとんど使わないなあ。
 
引き心地にもうひとつ影響してるのが、ロング・バイブローラー、いわゆるトレモロです。トレモロなんてまず使うことないんですけど、それより難儀なのは、こいつのせいでブリッジにあまりテンションかけられないため(ネックの仕込み角度も原因でしょうけど)、ちょっと強く弾くと6弦や1弦が弦落ちしやすい点です。どーやら僕はピッキングが強いようで(加減ができないとも言いますが)、カッティングや低音弦でのリフなんかのときに、ちょくちょくブリッジのところで弦落ちしてしまいます。当然テンションも低いためサステインにも影響あるでしょうし、この点は欠陥と言わざるをえないかも。335を含め60年代半ば以降のESモデルはトレモロ付きが本来はデフォルトなのに、ストップ・テイルピースに改造してあるものをよく見かけるのは、演奏性と、サステインをかせぐためなのではないかと思います。

写真でもテンション緩そうなのがわかるんじゃないかと。このブリッジのとこで弦落ちするのです。
 
で、肝心の音については、はなはだ心もとないことしか言えないのですが、一般に335の音がフルアコとソリッドの中間っぽい感じと言われますけど、それと比べるとややフルアコよりなのかなあ、というのが個人的な印象です。むしろ、335の方がソリッドに近い「硬めの音」と言った方がいいのかもしれません。同じ年代のものを弾き比べたわけではないし、ES系に限らず、年代によって木も違えば、センターブロックの構造をはじめとした仕様も微妙に異なるため(何よりピックアップが違うわなあ)、弱気な主張しかできないのですが。
実のところ、入手した当初は「丸いというか、高音が弱いかも」という印象もあったのですが、今ではすっかり慣れてしまいました。むしろこの音の方が好きなくらいです。またこれがBeat Inで鳴らすといい音なんですわ。
慣れたと言えば、ボリュームとトーン・ノブも慣れました。というのも、はじめの頃はカーブっつうんですか、それが他のギターと具合が違ってて、特にセンターにしたときのリアとフロントのバランスがすごくとりにくかったんです。これも最近はすっかり馴染んでしまって、セッティングもほぼ安定してくれてます。出音はさておき。