雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

つまらんCMいくつか選んでみました。

最近、CMがつまらん。人によっては今にはじまったことじゃないと思うかもしれないので、まあそこらへんは個人の見解ということで。
 
こういう話になると、決まって「不景気で広告費が削減されて云々」と言われるけれど、そうかあ?問題なのは、つまらん内容でOK出す側のセンスとか、制作現場まできちんと金が降りないシステムの方じゃないかと思うんだけどな。
とは言え、「CMがつまらん」という自分の感覚が正しいのか自信もないです。たとえばネットのニュースなんかで「○○が話題に!」とか言われても全然魅力感じないんだけど、そうして話題になってるってことは、それなりの魅力はあるはずですもんね。原則的には、受け手としてそういう姿勢でメディアの情報は見聞きしてるにもかかわらず、その魅力がわからないのは、歳のせいなのか、もともと大した感覚でなかったのか、いずれにしろ受け手である僕の問題だと思ってはいるわけです。
 
思ってはいるんですけどね、「こども店長」とか言われても、これっぽっちも面白くないんですよ。
昔から言われてる広告作る際の鉄板ネタとして「3B=Beauty、Baby、Beast」ってのがあるそうで、つまり悪く言えば、「ネタに困ったら美人か赤ん坊(子供)か動物出しときゃいいだろ」ってことだと思うんですけど(最近のヒットだと、Softbankのお父さん犬とかかな。あれも別に面白くないけど、完成度の高さは感じます)、なーんかさ、こども店長って、「子供ががんばってセールストークしてて、オチでちょっとお母さんにしかられたりしたら、微笑ましいし、好意的に受け入れてもらえるんじゃないの?」という、安易というか、無難というか、実際のところはともかく、どうもそんなあざとい企画に感じられて、あまり好意的に見られない。
子供つながりで言うと、「ポニョ」の主題歌歌ってた大橋のぞみちゃんがいろんなCMに出てるけど、あれもどうかなあ?歌声は可愛らしいと思うけど、あの子をCMで見るたびに「お前、目が笑ってないじゃん」と思うのは僕だけなんでしょうか?
 
それから、アリコをはじめとした、あの手の保険のCMのほとんどは、CMの出来がどうこうという話にすらならないと思うんだけど、あえてそんな中で「がんばった」んだけど「はずしたんじゃないかあ」と思うのがアフラックの猫とアヒルが踊ってるやつ。共演(?)が宮崎あおいさん。ここで歌を歌ってるのは男の子ですね。ということで、曲がりなりにも、3B総動員なんだけど、肝心の踊ってる猫の出来が今ひとつで、それが全てをぶちこわしにしてると思うんですね(加えて、子供に歌わせるというのが、個人的にはあざとく感じられて鼻につく)。なんか、言いたいことは「まねきねこダックキャンペーン」の告知らしいんだけど、それすら記憶には残りませんでした。いろいろ要素つめこみすぎて焦点ぼけちゃったんじゃないかな?


「♪(みんなでしあわせ)を〜〜〜〜」のところ。ここが個人的にいちばん神経逆撫でされるポイント。
 
さて、わけがわからんのが、紅茶のリプトンの紙パックのCM。これ、僕の中で9月に見たCMのワースト1です。おめでとうございます。これはBeastものになるのかもしれないけど、馬面で口のでかい女が海辺で馬に乗ってて(あ、馬つながりか?)、コピーが「きみといると、/おもしろい。」。…いやマジで、これ何が言いたいんだ?映像もシチュエーションもえらく古くさいし、かといって何かのパロディというわけでもなさそうだし。コピーなんか「日本語だったらなんでもいいや」とでも考えたんじゃなかろうかと思えるくらい、商品とのつながりがわからん。


浜辺で馬をひきつれてパック紅茶を飲みながら談笑。こうして言葉にするとシュールさすら感じられてくる。付け加えると、文字組みもバラバラ。いくらなんでもこの組み方でポスターとかPOPとかも作ったりしてないよな。
 

21世紀の今日において、この企画でOKを出した人間がいることが信じられない。絶対、他にもっといい案が提案されていたはずだ。


走る馬の水しぶきで清涼感を出したかったのだろうか?紅茶って、そういう飲み物か?
 
同じリプトンの紅茶でも男がよってたかってパン作ってるやつの方は、おじさんとしては「お前ら何やってんだ?」と言いたいのは置いといて、紅茶の広告として理解できるんですよ。とは言え、これは前述した「○○が話題に!」の「○○」に入りそうな「スイーツ男子」とかが企画のキーワードのような気もして、それはそれで安易系の企画じゃないかとも言えますが。
ところで、リプトンの紅茶って、缶とペットボトル飲料はサントリーで、パックは森永乳業がそれぞれ製造・販売してるんですと。ということは、レモンティーでもペットとパックじゃ味違うんですかね?
 
パロディで思い出したんですが、大関のCMではSMAP稲垣吾郎さんが、なんか古くさいシチュエーションのやつに出てますけど、あれ、かつて田宮次郎さんが演じた同社のCMのリメイクなんだそうです。
これ、酒造業界ではけっこう話題になっていながら僕はずっと未見で、先日やっと見たんですけど、なんかコントみたいに見えますね。どうせなら、いっそフィルムで撮った方がよかったんじゃないでしょうか?
それはともかく、これも僕には意図がよくわからんです。稲垣メンバーを起用することで、若い人への日本酒とか大関ブランドの普及を図ったんでしょうか?だったら、その若い世代が全く知らないであろう(40代前後の僕も知らない)CMのリメイクしたからといって何の効果があるんでしょうか?元ネタを知らなければ、リメイクしたことによるパロディ的な面白さすら感じられないと思うんですけど。
もしくは逆に、田宮次郎版CMを知っているであろう40代50代の「大人」を対象にして、かつて見たであろうCMをリメイクすることで、「懐かしさ&新鮮さ」を感じてもらいたかったんでしょうか?でも、その場合、稲垣メンバーの起用は想定したターゲットにどんな訴求力が期待できるんでしょうか?(氷川きよしさんを起用した「白鶴まる」の方が、キャスティングとしてはずっと「なるほど」と思えるのですが)なんかどっちつかずというか、アフラックとは違う意味で、これも焦点がぼけてるように思います。
 
ずらずらと悪口ばかり書いてても仕方ないから、いいなと思ったCMも。GATSBYの、のんちゃんがキムタクにかわるやつ。インパクトもオチもあって、キャスティングもいいし、画面も綺麗。なんかベタボメっぽいけど、単純に笑えたんで、好きです。


のんちゃんの表情が絶妙。ただ、広告が気に入ったからといって、商品買うかというとそれはそれでナニですが。難しい時代になったもんです。