雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

白鹿記念酒造博物館「節句の人形」と、その後に続く桜について

ご近所、白鹿記念酒造博物館で開催されていた企画展「節句の人形」を、最終日に見に行きました。
明治から昭和初期にいたるお雛様や、甲冑などのいわゆる五月人形が展示され、当時の職人技を堪能したのですが、どうにもモデラー的目線で鑑賞してしまうのはいたしかたないかと。いやホント、当たり前ながらよく出来てるんですよ。あと、展示の目玉のひとつであろう二寸雛はたしかに見事。スケールで言うと、1/16くらいになるかと思うのですが(だからやめろって)、髪の毛や表情、小物などの造りの細かさは単純に見ててすごいと思わされます。
 
ところで、展示物の中に、刀鍛冶の様子を再現した人形がありました。メインで刀を打つ人と、助手として柄の長い槌をかまえてる人の二体組なんだけど、その助手のことを「相槌」と呼ぶのだそうです。日常的に使っている言葉の語源がこんなとこにあったとは、と思わず唸ってしまいました。
それから、人形じゃないけど、端午の節句ものとして出ていた、ちまきの掛け軸が良かった。手数の少ないシンプルな筆致で、でもちゃあんと「ちまき」なんです。
 
ついでに覚書。
人形とは別に、酒造博物館ということで、お酒にまつわる絵画や書物なども見ることができまして、その中で、江戸時代の「水鳥記」という本があったことをメモとして。
「水鳥」というのは酒のことで、つまり「水=さんずい」と「鳥→とり→酉」で「酒」なのですよ。なんと洒落た感覚であることか。
ちなみに酒の銘柄で「○○正宗」という名が多いのは、「まさむね→正宗→せいしゅう→せいしゅ→清酒」と、これも洒落なんだけど、こちらはちょっとベタですね。
ともかく、随所で昔の人の文字や言葉に対する豊かな感覚が楽しめた点が個人的には収穫でした。我流でいいから篆書やってみたいな、とか。
 
でもって、ちょっと間をおいて3/23からは毎年春恒例の「笹部さくらコレクション」であります。
桜と言えば、今日の記事にこんなのがありました。

<サクラ>DNAで「系譜」分類 「枝垂桜」は複数品種
毎日新聞 3月9日(水)10時39分配信
 さまざまな名称で呼ばれている桜の栽培品種について、森林総合研究所茨城県つくば市)などの研究チームが8日、DNA解析に基づく分類を公表した。「枝垂桜(しだれざくら)」に複数の品種が交じっていたことも判明した。今後、DNAに基づく図鑑を作成する計画だ。

 桜は室町時代から野生種をもとに品種改良され、その方法は遺伝子が同じになる接ぎ木が主流になっている。しかし、長い年月の間に取り違えが発生し、品種が混乱してきた。そこでチームは、同研究所多摩森林科学園(東京都八王子市)や新宿御苑(新宿区)などの計1850本を調べた。

 その結果、花びらの枚数や濃淡の違いから別名で呼ばれている「江戸」「糸括(いとくくり)」「大手毬(おおてまり)」「八重紅虎(やえべにとら)の尾(お)」は同一の品種だった。「太白(たいはく)」「車駐(くるまどめ)」「駒繋(こまつなぎ)」も同じ品種と分かった。

 一方で、「枝垂桜」以外でも「寒桜」「奈良の八重桜」には複数の品種が交じっていた。「ソメイヨシノ染井吉野)」「八重紅枝垂」は単一品種と確認された。

 現在、桜の栽培品種は約300種類あるとされる。今回の分析対象はこのうちの7割だが、主要品種を網羅したとしている。同研究所の吉丸博志・森林遺伝研究領域長は「この方法は花のない苗木の段階から品種を識別できる。同名異種なのか異名同種なのかといった混乱を整理できたのではないか」と話している。【安味伸一】

 
笹部新太郎翁にちなむ「ササベザクラ」にもまた、新たな見解が加えられるということなのでしょうね。
その笹部翁にこちらもちなむ「笹部さくらコレクション」。今年のタイトルは「お花見日和」。”いざ、博物館へ!” お土産に、吟醸酒も貰えますので、みなさまぜひご来館くださいませ(笑)