雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

桜つながり〜白鹿記念酒造博物館 平成24年春季特別展 「笹部さくらコレクション」


 
本物の桜も満開に近づいている今日このごろですが、今日は桜の美術工芸ネタです。
毎年ポスターのデザインをさせていただいている白鹿記念酒造博物館の「笹部さくらコレクション」。
3/20から始まっているのですが、今日やっと行ってきました。
今年は博物館が開館30周年を迎えることもあって、博物館開館当時のパンフレット等(錦絵風のグラフィックで、なかなかユニーク。そういえば誰の仕事か聞くの忘れた)も見ることができます。
 
ポスターを作ってる関係から、写真では随分見慣れている作品も沢山あるのですが、今回ナマで初めて目にするものも実はありまして、まあやっぱり本物はいいですね。
今回個人的に「あ、いいな」と目をひかれたのが、展示室をつなぐ通路のケースに展示されていた、牧野四子吉さんの「桜花図譜」。なんでも牧野四子吉という方は広辞苑とかジャポニカ大百科事典とかに博物画を描かれていた、その道の大家ということですが、不勉強で全く知らなかったです。
で、この「桜花図譜」は、近江舞子の山桜の記録として描かれたものだそうなのですが(ただ先の大戦のおかげで当初予定されていた全てが描かれたのではない。全く戦争ってやつぁ)、いわゆる博物画の細密表現とはちょっと画風が違ってて、繊細なんだけど、いい意味で軽くってモダンな印象があります。
 
この展覧会、前後期で展示入れ替えがありまして、前期は4/22の日曜日まで、4/25から5/28が後期展示となってます。「桜花図譜」も前後期で入れ替えがあるそうなので、後期もぜひ行きたいと思います。
 
追記

 
2003年5月に京都高島屋グランドホールで行われた「牧野四子吉の世界 いきもの図鑑」の図録が近くの古書店にあることを知り、さっそく購入しました。
魚、動物、昆虫、そして植物と、膨大な作品が収められ(それでもご本人のお仕事のほんの一部にすぎないのでしょうが)、なかでも上記の「桜花図譜」は保存されているという19点が全て掲載されていて、個人的にお得な一冊です。

 
一覧してみると、「桜花図譜」の作品群は氏のお仕事の中ではやや異色なものなのかも?なんか他のものと比べてタッチが違うように見えます。でもやっぱりこれが一番好きだな。できたら19点とも大きな図版で載せてほしかったけど、まあそれは贅沢すぎますね。