雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

「創作展 感じるパッケージデザイン展」 2 (検討篇)

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天面のみをずっと作っていたが、ようやくこのあたりから箱として作りとか寸法とかを決めていく。真ん中のものがここでは一番古く、まだ通常の蓋と身箱の前提で考えている。この真ん中のものはティッシュの箱に見えて仕方がない。天地左右の比率やスリット群の入り方のバランスからそう見えてしまうのだろう。

写真ではわかりにくいけれど、奥のものが基本的な構造で、これは左右の側面は身箱のみで、蓋は「コの字」型になっていて身箱を包み、センターの帯で留めるという構成にした。

 

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構造は決まったけれど、寸法はまだ決まっていない。上の3つは全部微妙にサイズが違う。

 

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スリットの入れ方にしてもいろいろとバリエーションは考えられる。それらバリエーションを見せることで展示物とならないか、と考えてみた。と言うか、やっと展示のことにまで気が回るようになってきた。タイトルを決めて、そこから4つ並べることにした。

 

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この頃、展覧会ウェブサイト用の画像や作品説明を送る。寸法も使う紙もカラーリングも、まだ決まっていない。

 

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今回の作品展は白い作品が多く出るだろうな、と思いつつも、紙の色は、白—グレイから離れることができなかった。決めきれないまま長堀橋のペーパーボイス大阪へ行き、紙を数種類購入した。紙を選ぶ際には、スタッフの方のアドバイスに助けられた。

 

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本製作用の候補の紙。ディープマットという紙(右)と、キュリアスマターという紙(左)で組んでみる。平面の状態で見たらいい感じだったのが、組んでみたらボール紙に見えてくる。

 

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サイズの検討は相変わらず。というか、まだ決まらない。本紙になって、紙の厚みも変わったので、それもサイズ決めに影響してしまう。とりあえず4つ並べて完成したときの感じを想像してみる。

 

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ここまで来て構造が気になってきたので変更した。右が変更前、左が変更後。

側面の差し込みかたを変更して、隙間が見えないような構造に(正確には隙間のできる位置を)変えた。

 

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違いなどわからないだろうけれど、写真最下段の白いものが最終版。キュリアスマターの白で作るとなんだか死装束みたいだ。

しかしこの作品、箱=パッケージとして見ると、デメリットだらけだ。

天面を切り刻んでいるため剛性は落ちるし、その天面は造形状膨らんでしまうので積むこともできない。帯にひねりを入れて差し込むにはコツがいるため、量産も難しい。ギフトボックスとしてなら用途としてあるかもしれないけれど、持ち運ぶ際につぶれないよう気を使うことは間違いないだろう。中のものを保護するための箱に気を使わなくてはいけないなんて、本末転倒ではないか。

 

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ともかく、最終版の展開図がこちら。

これをプリントして切り出して組めば、誰でも同じものを作ることができる。