芥川龍之介 「河童」
「どうか Kappa と発音してください」
「かわわらわ」「かわわっぱ」もしくは「河太郎」などなど、Wikipediaによると、芥川龍之介の小説によってKappaという呼び方が広まったとのことで、それまでは各地でさまざまに呼ばれていたらしい。
芥川の小説「河童」はその短いキャリアの最晩年にあたる時期に書かれた。
彼にしては比較的長い小説で、河童の世界に紛れこんだ男を通して、人間世界を風刺する内容。
取り上げられたテーマやその切り口は、晩年の芥川作品に共通する厭世的なものもあるとはいえ、河童というキャラクター性にもよるのか、個人的には他の作品とは違う、カラっとした明るさも感じる。
ショートショートにも満たない短いエピソードを重ねた、言ってみれば一話完結の短編集みたいなもので、芥川も「あんなのはいくらでも書ける」と誰やら宛の書簡に書いていたそうな。
だったら自殺なんかせずに、爺さんになるまで書き続ければよかったのに、とちょっと思ってしまう。