雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

書籍

河童(習作)

芥川龍之介の描く河童の絵が何点か残されている。墨絵で屏風に描かれたものもあるようだ。実物を見たことはないけれど、筆さばきは達者に見える。 一般にイメージされている河童とは少し違った印象で、痩せぎすで「童」感もあまりないそれは、僕には餓鬼を、…

芥川龍之介 「河童」

「どうか Kappa と発音してください」 「かわわらわ」「かわわっぱ」もしくは「河太郎」などなど、Wikipediaによると、芥川龍之介の小説によってKappaという呼び方が広まったとのことで、それまでは各地でさまざまに呼ばれていたらしい。 芥川の小説「河童」…

谷崎潤一郎 「攝陽随筆」

読んでいない本が何冊も積まれているにもかかわらず、この夏は谷崎潤一郎の「卍」と「春琴抄」を再読していた。特になにか事情があったわけでもなく、何となしに頁をくっているうちにまた読んでいた程度のことだ。とはいえ「卍」は印象を新たにしたし(正直…

Robert Frank 「THE AMERICANS」 STEIDL版

アメリカの中間選挙が行われ、その結果が出た。 上院は共和党が過半数で、下院は民主党が過半数になったそうだ。 この結果がドナルド・トランプにとって良いことなのかどうか、ひいてはアメリカ合衆国にとって良いことなのかどうかは全く解らない。 ただ、過…

谷崎潤一郎 「卍」 函の修復

「卍」は好きな小説だ。 内容はけして健全ではなく、とは言え当時は攻めていたであろう内容も、今の目からみればそれほどでもない点もあろうけれど、読み物としての面白さは今でも全然損なわれていないと思う。 なにより小説の舞台がうちの近所というのが、…

九鬼周造 「『いき』の構造」

常に「いき」な大人でいようと思いはしても、なかなか敷居は高いものだ。 せめて不粋ではいたくない/野暮な人にはなりたくない、くらいは意識して過ごしていきたいとは思う。それとてかなり難しいことではあるけれど。 さて、この「いき=粋」だの「不粋」…

芥川龍之介 「河童・或る阿呆の一生」 旺文社文庫

芥川本の復刻版をまとめ買いしたら、おまけのつもりか文庫本が一緒に入っていた。 収録されているのは、 「点鬼簿」「玄鶴山房」「蜃気楼」「河童」「歯車」「或る阿呆の一生」 と、芥川晩年の作といえば必ずとりあげられるものばかり。 ベタと言えばベタな…

福永武彦 「廃市」自装版

ひさびさのリメイク本です。 昨年、表紙をバラしたまま放置していたA5ハードカバーと文庫本の2冊の自装版。 とにかく白い本にしたいなあと思ってたのですが なかなか紙を決められずに不本意ながら放置したもの。 結局手元にある紙を使ったのですが、何です…

太宰治 「晩年」自装版

「脱走と追跡のサンバ」に続く、文庫本リメイク第2弾。 「走れメロス」が話題沸騰中の太宰治が「遺書のつもりで書いた」と言う処女短編集。これは新潮文庫版です。 クラフト紙を主に、背表紙や表紙のあしらいに黒い紙を使いました。 金の文字はアルプスのプ…

筒井康隆「脱走と追跡のサンバ」自装版

購入して30年近くはたつ角川文庫版。 カバーや表紙がボロボロになってたので 表紙と裏表紙をひっぺがして、思い切ってハードカバーにしてみました。 タイトル・著者名の文字は、軽く位置決めだけして手描きしました。 タイトル書いてて気づいたこと。 アニメ…

豆本のお稽古 2

前回に続き、製本の練習。 もうちょっと小さいものを試しに作ってみました。 これも中身はありません。 画面向かって右にある年代物のiPodで大きさが比べられるかと思うんですが iPod持ってないと結局わからないですね。 ところで、かつてはモノの大きさの比…

豆本のお稽古

もともと製本―本づくり―に興味はあったのですが、 最近になって突然、手を動かし始めてしまいました。 以来、このところ豆本づくりの練習をずっとやってます。 手順なんかはまたあらためて説明するかもしれないけれど、まあ、ベーシックな作り方でやってます…

「暦物語」にかこつけた本についての雑感

「暦物語」 ベルトルト・ブレヒト著 矢川澄子訳 現代思潮社 1963年発行。 数年前(思い出せない)に梅田・かっぱ横町の古書店で購入。 ブレヒトという作家のことは何も知りません。旧東ドイツの作家らしいけど、彼の著作が今でも普通に読めるかどうかも不明…

ホンットに遅ればせながら、夏の読書感想文

お盆前後、甲子園に行った以外に、数年前に買ったままにしていたものをはじめ、何冊か本を読みました。わたくし、プラモも積んでますけど、本も積んでるんです。ともかく、強くお薦めできる本、というわけでもないんだけれど、さらっと紹介してみます。 「装…

芥川龍之介について、つらつらと。

かなり昔から好きな作家の一人。箴言集「侏儒の言葉」などから伺えるものの見方など、若かりし頃にすっごく影響受けました。 初めて著書を手にしたのは12歳の冬でした。岩波文庫の「歯車 他2篇」。当時は100円(今amazon見たら、420円するんだって!!)で、…

朝日ソノラマが9月いっぱいで解散ですと。

本日知ったのですが、6/21に発表があったそうです。「近年は若者向けの娯楽小説や女性向けコミックスなどを主に出版していたが、債務超過が20年以上続くなど経営状態が悪化、社員の高齢化も進んでいることから再建は困難」とのこと。早速、初めて朝日ソノ…