雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

Peace & Freedom

Peace&Freedom

Peace&Freedom

2004年の7月5日に、甲斐バンドの元ギタリスト・大森信和氏が急逝されました。僕がそれを知ったのはそれから一月余り後のことで、氏が亡くなられたことはもちろん、一ヶ月もそれを知らなかった自分が、元ファンとして申し訳ないというか、罪悪感のようなものを感じたものでした。さらに申し訳ないことに、いろいろと甲斐バンドファン関係のウェブを辿っていくうちに、大森さんがソロアルバムを出していたこともやっと知った始末。その上どうやら一時絶版になっていた模様で入手も難しそうでした。重ね重ね申し訳ないけど、中古盤屋をこまめに探したり、オークションで高値になったものを入手する気まではならなかったのです。
ところが後日、検索をかけてみたら、通販サイトでひとつだけ入手ができる模様(他のところは在庫切れだった)ので、ここぞとばかり、香典代わりに(不謹慎かな?)早速注文したのがこの「Peace & Freedom」です。
さて、肝心の内容ですが、なんか不完全燃焼というか。レコーディングメンバーのクレジットが一切無いんだけど、リズムセクション含めて多重録音なんですかね?そう思うと、打ち込みにギターだけかぶせたように聴こえますけど。
大森さん自信によるライナーノーツがついてますけど、これ読んでも一元さんには不親切で甲斐バンド&ギタリスト大森信和を知ってるコアなファン向けって感じがする。ただ、それならそれでもうちょっとマニア向けに作ってもよかったのではないかと。「くだけたネオンサイン」とか「きんぽうげ」をギターだけでやる、とか。
そういう意味で売りのトラックは2曲目の「25時の追跡」の再演でしょう。英語タイトルを甲斐バンドの「REPEAT & FADE」に収録されたときの「ALL DOWN THE LINE(おいおい) 」から「Midnight Chase 2001」に変えて(どうでもいいこととは思うけど、こっちの方がいいと思う)収録。うーん、Aメロとサビにもうちょっとリズムのメリハリが欲しいなあ。
個人的に一番大森さんのギターだなあと思ったのが6曲目の「Left Alone」。「100万$ナイト」のエンディングを彷彿とさせるトラック。ただ、「Left Alone」も含め、ギターソロだけで聴かせるんだったら、もうひと展開、もうひと山が欲しいなあと思わされるものばかりで、ギターの音そのものは「おお、大森さんだ」という感じなだけに全般的にはもどかしい一枚と言わざるをえないです。
うーむ。これじゃ故人に鞭打つような文章だな。そんなつもりはないのですが。
その後、大森さんの音源は、追悼盤として、2005年7月5日に「NOBU 335」が、さらに昨年の7月5日に「SKY WAS BLUE」がリリースされております。こちらはまだ未聴です。