雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

1/144 戦闘メカ ザブングル ウォーカーマシン プロメウスタイプ


 
9月10日に載せた白黒画像を改めて紹介します。
表題のごとく、ザブングルに出てきたウォーカーマシンです。敵役のロボットですね。本編については詳しくないので、詳しいことは書けませんが。
ザブングルのプラモデルは、キャラクタープラモをあらゆる意味で変えた第一次ガンプラブームに続く、ポスト・ガンプラとして発売以来20年を超えた今でも高く評価されてて、昨年も模型誌で特集されてました。
面白いのは、主役メカよりこのプロメウスタイプのような敵役のキットの方が人気があって、たまぁに再販となると(またこの頻度が少ない)敵役キットは店頭から瞬殺されるにもかかわらず、ザブングル、ウォーカーギャリア、アイアンギアの主役三点は必ず売れ残り、その度にバンダイは基本的なマーケティング能力の低さを露呈しております。
それはさておき、なんで敵役の方が人気があるかというと、簡単に言えば「現在の目でも見られる商品」だからじゃないでしょうか。主役メカはいわゆるヒーロー体型のため、例えば昨今のガンプラと比べると明らかにプロポーション的に古いというか、劣っている点が目についてしまいます。それに対して、建設機械的なデザイン記号や、いわゆる「鳥足」と呼ばれる間接を逆方向に曲げるような造形を取り入れたりして、人間的プロポーションから離れた敵役のウォーカーマシンは、大袈裟に言えば、時の洗礼に耐えうる要素を設定時から持っていたと言えるでしょう。
また、そのモールドは近年のバンダイ製品と比べるとかなり細かく、アニメ設定にないパネルラインやリベットなども彫刻されていて、商品自体に「プラモデル的魅力」を感じさせることも人気の要素のひとつかもしれません。組立説明書の塗装図でも、迷彩仕様や砂漠仕様などの本編に出てこない塗装パターンを載せたりしてスケールモデル的なアプローチが試みられたりもしてます。関節の可動や組み立てやすさについては昨今のガンプラに及ぶべくもありませんが、二重関節、引き出し式関節などの複雑な構造をしていない分、改造やディテールアップが容易なところもプラモデル的な魅力と言っていいでしょう。
 
余談ですが、MGやHGUCといったシリーズ、いわゆる「今のガンプラ」は、成形色も細かく分けられ、パーツをランナーから切り出して組立てるだけで、接着剤もいらず、塗装の必要もほとんどないまま完成度の高い模型を誰でも作ることができる反面、カスタマイズやプロポーションの修正など、ワンランク上の作り込みをしようととすると、途端に難度の高いキットになってしまいます。デジカメで言えばプリセットモードで使うなら何の問題もないけれど、絞り優先とか、画角を変えたいとなると手も足もでなくなるコンパクトデジカメのようなもんです。もちろん商品としては初心者に易しいわけですから問題はありません。また、上級者ならスクラッチまがいのこともこなせます。実際、すんごい作例はネット上でもたくさんあります。だけど、中級者のスキルではなかなか思うようにできない、ということになります。私の場合、パーツのヒケの修正や、エッジをシャープにするだけで(とは言え、事実上ヤスリがけで全てのパーツを一皮めくるような作業です)もういっぱいいっぱいです。この辺り、バンダイには中級者に対する配慮というか、プラモデルらしさ、みたいなものをもう一度考えてほしいものです。まあ滅多に作りませんが。
 
それはともかくウォーカーマシンです。模型オタクに限ったと言っていいこの隠れた人気商品のひとつがこれであります。さんざん褒めてきましたが、これはこれで今となってはキツいキットであります。パーツの合いもところどころでズレがあるため修正は必至ですし、明らかにショボいディテールも多くみられます。結局、このシリーズの人気の一番の理由は「品薄だから」につきるようです。
 
さて、このプロメウスタイプ、基本的にはキットのまま組んでるんですが、スカート部と足首の、プラの厚みが気になるところを薄くしてます。
 

 
機銃の砲芯は真鍮パイプで作り替え、防盾もつけてみました。スカート部分の天板の滑り止めパターンはエッチングの汎用パーツを貼ってます。
あと、わかりにくいですが、腕のフックのモールドがただの直方体なので、真鍮線をコの字に曲げて差し替え、腰の赤いとこの排気口と思われる部分もキットのままでは塞がってるので開口してプラ板でスリット(て言うのかな?)を追加しました。


 
塗装は箱絵を見て適当に調色。始め筆で塗ってみたんですが、あまりにグダグダになったんでエアブラシで吹き直しました。そのあとスミ入れしたところで力尽きました。以上であります。長いな。
 
長いにもかかわらず追記
最近、また1/144のキットが再販されてたようですね。相変わらず瞬殺に近い売れ様だったらしく、再販されたことすら気づきませんでした。また、新作として1/100ウォーカーギャリアの発売が決定したそうです。それに伴って、ザブングル以外は長く絶版状態だった1/100スケールのシリーズも再販される模様。1/100は一説には金型が修復不能だのスプリングなどのプラ素材以外のパーツが手配できないだのといった理由で再販は無理、との噂もあっただけに、ちょっと興味をそそります。