雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

煙草についてだらだらと

 
昨年2010年10月の増税による紙巻き煙草=シガレットの値上げが懐に痛かったのは僕だけではありますまい。これを機に断煙ないし節煙、もしくは常喫銘柄を安いものにした人も少なくなかろうと思います。
こちらの記事によると、喫煙者の人数はさほど減っていないようですが「1人あたりの喫煙本数は減っており、1箱60〜140円の値上げ効果は、「禁煙」ではなく「節煙」にとどまったようだ。」とのこと。
 

ここで何の意味もありませんが、僕の喫煙歴を記しておきます。
初めて吸ったシガレットは親の吸っていたマイルドセブン。で、自分で買った初めての煙草はマイルドセブンライトでした。その後、当分はセブンスターとショートホープを時々に応じて、つまり煙草銭が潤沢なときはセブンスターを、そうでないときは煙草屋でショッポを1個、買ってました。
その後、キャスターとかマルボロとかピースとかいろいろ吸ってみたものの、どれもいまひとつ馴染めないでいたのですが、いつ頃からかケントマイルドに落ち着く事になります。以降はケントマイルドとラッキーストライクの二者を行き来して、ついこないだまで来ていた次第です。
ケントマイルドの特徴は、特徴の無いところではないかと思います。癖が無く、味も無く、香りも無い。ただ、吸い応えはあるから、喉越しはいい。言ってみれば、麦の風味の極端に低いドライビールみたいなものと思っていただければよろしい。少なくとも、僕がケントマイルドに求めていたのはそういう要素でした。その点で言えば、ラッキーストライクはケントマイルドとはあまり共通するものはありません。むしろ、ケントマイルドに物足りなさを感じたときにはラッキーストライクを吸っていたわけです。
 
それはともかく。
僕は値上げ=増税を理由に煙草を辞めるのは、自分に対してなんだか納得いきませんでした。なんと言うか、「増税によって煙草を辞める=権力に屈する」みたいな感じがするのですね。
(ついでに言うと、健康上の理由、というのはとくに重視していません。煙草を吸わないことでイライラしたり、あるいは他人の喫煙にいちいち文句つけたりしてたら、かえってその方がストレスで体悪くするんじゃないかあ?なんて煙ふかしながら思う程度です。あ、嫌煙キチガイも含めた、煙草に関するマナーの話はまた全然別のことだし、ここでは触れません。あえて言うなら、吸わない人にとっちゃ臭いし煙いしそりゃ迷惑だろうな、と)
とは言え、金銭的にはやはりキツい。辞めるのは無理だとしてもせめて喫煙量を減らせないものか。
それから、煙草が切れたときの落ち着かない気分も嫌でした。さらに言えば、煙草が無いとなると雨だろうと深夜だろうといそいそとコンビニに出かける自分も、煙草に縛られてる感じがして嫌だなと。だからといってTASPOなんて作るのはやっぱり権力に屈した感じするし。つーかいちいちそんなもん手続きするのもうっとおしいしetc.
思うに、シガレットに火をつけても、必ず全部吸ってるわけではないのですね。火をつけて2、3口吸った後は灰皿に置きっぱなしで、気づいたら燃え尽きてた、なんてざらにあります。とくに模型製作中のときなどしょっちゅうです。これはかなり無駄です。
それに、火をつけたからといって、いつもいつも最後まで吸い切りたいわけでもない_そもそも自分はニコチンを欲してシガレットに火をつけるのか?単にシガレットをくわえてそれに火をつけたいだけじゃないのか?
 

まあそんなこんなを考えて、今年から、火をつけた分は確実に吸いきれてコストパフォーマンスの高い喫煙に_シガレットから煙管に_切り替えてみようと考えたわけです。
この場合、そもそも煙管代がかかるのですが、3年前にJPDAの全国会議で伊勢に行ったときに、もののついでに買った煙管がありまして、先行投資はすでに済んでいるのです。あとは煙管用の刻み煙草を購入すればよろしい。現在販売されている刻み煙草はわずか一銘柄、「小粋」というやつです。自ら「小粋」などと名乗るとはなんて無粋なと思わなくもないのですが、まあそこは目をつぶりましょう。こいつが1箱=10gで360円。僕はシガレット=ケントマイルドを1日1箱=20本吸ってたので、増税後は毎日410円煙草銭を使ってたわけです。ならば、小粋を1日1箱吸うペースならこちらの方がリーズナブルなわけです。実際に切り替えてみると(と言ってもいきなり全部切り替えたわけではなく、ケントの合間に小粋をとか、小粋の合間にケントをという具合に移行していったのですが)、3、4日では小粋は吸いきれませんでした。何故か?
 
煙管で一服する場合、以下の工程が必要となります。
箱を開ける
  ↓
適量の煙草をひとつまみ
  ↓
煙管の火皿に詰める
  ↓
火をつける
  ↓
喫煙じたいは3、4口
  ↓
吸い切ったら灰を灰皿に落とす
  ↓
何度か吸ったら煙管の掃除。
さらに1週間か10日に一度くらいは煙管の大掃除
あえてまだるっこしい書き方をしてますが、要するにシガレットを吸うのに比べると、煙管の喫煙は面倒くさいのです。その面倒くささから、言ってみればそれまで漫然と吸っていた喫煙がそうでないものになり、ひいては喫煙量の減少につながったようなのですね。
 

ところで、煙管に慣れてくると、他の喫煙スタイルにも興味が出てきました。
パイプです。
煙管では一銘柄しか吸えない(という訳でもありません。手巻き用のシャグと呼ばれる細切り煙草なら煙管での喫煙も可能だそうです。これはこれで試してみたいものです。また、近日「宝船」なる新銘柄が発売されるという話もあります)。パイプなら多岐にわたる豊富な煙草を楽しめる。もとより、パイプそのものに興味が無かったわけではない(パイプと言って真っ先に浮かぶのはムーミンパパ、次いでスナフキンです。ちなみに、シガレットでイメージするのは「Let's Spend The Night Together」のキース・リチャーズと「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドですね。なんかシガレットの方が大人っぽいな)。
いささか弱い動機ではありますが、大阪梅田は東通り商店街の煙草屋さんに行って、パイプとコンパニオンとモール、それにパイプ用の煙草(国内で最もポピュラーだということでアンフォーラ・フルアロマというやつ)を購入しました。以来、日中は小粋を数度喫煙、就寝前にパイプをふかしながら「ぼー」っとする、というのがパターンになってます。
とはいってもまだせいぜい2週間しか経ってないのですが。
 
さて、ここ数週間でシガレット、煙管、パイプといくつかの喫煙方法を経て気づいたこと、現状の問題点をいくつか。
まず、シガレットと煙管&パイプは別物だということです。
最も大きな違いは、シガレットは煙を肺まで吸い、パイプ(シガーも)は口でふかす点。これはシガレットは喉越しを楽しむ部分が大きく、パイプその他は香りが味を楽しむものだということかと思われます(などと言いつつ、この「味」つーのはまだよくわからん。わかってくると甘いとか辛いとか酸味を感じるんだそうな。今は舌焼けでヒリヒリすることの方が多いですが)。まあよく言われていることなので「そんなこと知ってらい」と一喝されそうですが、あらためて実感したのだからしょうがない。いずれにしろ、喫煙という行為が随分変わってしまったことは事実です。
それとね、小粋やパイプ煙草の煙は目にしみないのですよ。これはケントをはじめシガレットを吸ってたときには考えられないことです。思うに、目にしみるのは巻いている紙が燃えて出る煙なのではないかと。ちなみに、いわゆる煙草の臭い(実のところ、他人の吸ってる煙草の臭いって、同じ喫煙者でも嫌なものなのですが)、あれもどうやら紙の燃える臭いのようです。煙草吸わない人にはわからないだろうなあ。いやホントに煙が目にしみないんだってば。
とは言え、パイプを始めて2週間程度の僕がパイプ喫煙について云々言えることはほどんどありません。というか、正直その旨味はわかってないと言うべきです。
パイプの問題点で一番はここでしょう。敷居が高いのですね。先ほど「味がよくわからん」と書きましたが、つまりは楽しむためにそれなりのスキルが必要だということです。今の僕は要するに「パイプ買ったよ。口の中ヒリヒリだよ」程度でしかありません。(「じゃあ辞めれば」と言うなかれ)
もうひとつ問題なのは、パイプはパイプでこの沼は深そうだ、ということ。
モノによってはバイプ1本とギター1本、もしくはレンズ1本が同じくらいの値段だったりするのですよ。理解できないですよね。僕も今のところ理解できないし、できればしなくない。でもネットでいろいろ見てるとパイプってカッコいいんだよな。この誘惑にいつまで抗えるか。とは言え、この沼にはまったら、そもそも喫煙にかかるコストを抑えたいという始めのコンセプトが崩れてしまうわけで、ここはひとつ用心せねばならないところです。まあ、すでに手元に複数のパイプがあるのですが。
 
ともあれ、先に「漫然と吸っていた」と書きましたが、これがなかなかキモであります。僕の中で「習慣としての喫煙」から「趣味としての喫煙」に変えようという意図が芽生えてきました。
いずれにしろ、深入りせず、無理をせず、迷惑かけず、喫煙ライフを楽しみたいものです。