雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

今週のお題「夏の味」いいかげんにしてくれ――この夏の味とやらは、クソ苦いわ

 
今、たった今、テレビをOFFにした。
ニュースが始まったとたん、テレビをOFFにした。
我が娘が殺された知らせを受けて落胆する父親をカメラに収めてその様子を全国に向けて放送しだしたからだ。
 
尊父が涙をこらえながら、あるいは涙を流しながら、なんとか頑張って絞り出した言葉の後には
手垢のついた正義感でコーティングした何の役にも立たないありきたりなコメントを
アナウンサーが「こんなこと許されない」てな調子で偉そうに言うのだろう。
 
そんなもの、ニュースじゃない。
 
この放送直前のローカルニュースの前には
各地の水族館の人達が苦心して頑張って撮影した動物の親子の映像について
大して芸のない芸能人がヌルいコメントを吐いて撮影者や関係者の成果を台無しにする番組が流されていた。
番組の出来はともかく(いや、いつも思うのだけど、この手の映像にタレントのコメントとか
海外のドキュメンタリーとかにナビゲイターとか、いらんだろあんなもの)、
一応、親子とか、子供とかそんなことについての、番組の後に、だ。
 
こんなの、別に今に始まったことではない。
事故や事件で亡くなった人の告別式会場から中継したり
安否情報を求めて来たあげくに悪い知らせを受けて泣き崩れる家族からコメントをとろうとしたり…
 
なんでそんな傷口に――しかも、心の傷口に、だ――塩を刷り込むようなマネをいつまでも平気でできるのか?
昔っから全く理解できなかったし、見せられても不愉快だった。
 
それがお前等の言うところの「真実を伝える」という行為か?
それがお前等が守らんとしている「報道の自由」か?
ただの悪趣味な野次馬根性じゃないか。
悲しみにくれる人の不幸せ具合をさらし者にしてるだけじゃないか。それが報道か?
無粋にも程がある。いい加減に恥だと思い至れ。
 
 
こんなの、別に今に始まったことではない。
にもかかわらず、今日は滅茶苦茶不愉快にさせられた。
 
伝えている内容に意味が無いと言いたいのではない。
伝え方ってもんがあるだろうがよと言いたいのだ。
俺はニュースの名を借りたワイドショーを見たくはない。
 
あらためて言う。
いいかげんにしてくれ。