雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

5月2日午前0時51分、ボス逝く。享年58歳。


「昨日は車の中で寝た」
 
一時期、別に音楽カンケーでもなんでもない若い人達にすら「君等の不幸は現役のRCサクセションを知らないことだ」などとエラソーに言ってたことがあったんだけど、これ、けっこう本気だった。
 
はじめて聴いたのは中学生の頃。「トランジスタ・ラジオ」。
変なバンド名と、その声に「なんだこれは」とびっくりした。友達と演ったことあるから思いで深いんだけど、実はあまりいい曲とは思っていない。
その次は「まぼろし」だっけか。
寂しい歌だと思った。なぜだか未だにこの曲は聴くとつらくなって、好きになったことがない。でも、聴くと人をつらくさせる曲って、すごいことだ。
その次は…よく憶えていない。でも、80年代の前半って、フツーに暮らしてたらどこからでもRCが流れてたような気がする。で、好きとか嫌いとか抜きにして、「クセになった」とでもゆーか。「雨上がり〜」はもちろんだけど、「よォーこそ」「キモちE」「ダーリン・ミシン」とか、レコード買う前に憶えてしまった曲なんてたくさんあった。
いちばん好きなアルバムは「BLUE」。「ロックンロール・ショー」のイントロからいきなりやられた。いやホントは「シングル・マン」も「OK」も「FEEL SO BAD」も好きだけど。曲は個人的には「Oh! Baby」が最高傑作。乾いたリリシズムに満ちた極上の小品。わざと60年代のレコードっぽく振り分けたミックスも良かった。
 
知ってる曲をつらつらと思い返すと、捨て曲がほとんど見あたらないことにあらためて驚いてしまう。(ホントはそうじゃないんだけど)テキトーに思いついた言葉を並べていきなりその場で唄ってみたようなレアな感じが、曲になっちゃうと「あーわかるわかるわかる!」って思えてしまう。例としてどうかと思うけど「胸ヤケ」の「〜なまあくび」とか「コーラが飲みたい」とか、「ブン・ブン・ブン」の「ちゃんと税金払ってるぜ」とか、「2時間35分」の「新記録が出た/すばらしいことさ」とか、「君が僕を知っている」の「何でもないことで僕を笑わせる」とか。あと「はたらく人々」の「群馬の女は毛深いぜ」とか笑ったな。しかしこんなの書いててもキリないな。曲聴きましょう。とにかく、こーゆーの、唯一無二だとつくづく思う。
 
ずっと大好きだったけど、近年は、なんか自身のパロディやってるみたいで、ちょっと見ててつらかった。地味な衣装で生ギターの弾き語りとかもカッコよかったんだから、どうせならブルース・シンガーっぽく、きっちり老いぼれて枯れてくところを見たかったな。
 

「高架下」
  
画像2点は10年くらい前に描いたものです。
特にオマージュとかそういうつもりはなかったんだけど、明らかに元ネタは「スローバラード」と「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」です。
なんかよくわからんのだけど、「ガ・ガ・ガ・ガ・ガ」と井上陽水の「かんかん照り」が、中学3年の夏休みのBGMでした。